それに狭いよね。だって普通のバーだし。
恵比寿の駅前バーよりは、ちょっとは広いかもしれない。
いや、でもおんなじくらい?
ワンドリンクつきで2500円か。
ちょっと高いかなあと思ったなり。
恵比寿の駅前バーで、以前『同窓会』だったかな、そんなタイトルの芝居を観たときも、トイレを使っていた。リアルなバーだから、使えるギミックが限られてしまうんでしょうね。
ぼくが演じるにしても、トイレとか、自然に便利なアイテムとして使ってしまうでしょうね。
こういう場所で演技するのも、けっこう難しいと思うな。
こんな狭い場所に、観客がずらりと並んで、そこで不自然でない演技をしなくてはならないのだから。かといって、あんまり自然でもいけない。芝居なんだから、奇妙な、笑える、ちょっと変な要素もないと。
そのバランスが難しいと思う。
役者の魅力ってなんだろう。
どうすれば観客の前で、魅力的な人物になることができるんだろう。そう考えさせられた上演でありました。
◆◆◆◆◆ 以下、物語とか、ネタばれとか ◆◆◆◆◆
ある夜。バーのトイレに入ったきり行方不明になっていた女が、13年ぶりにトイレから出てきた。
13年前と同じ格好で。歳もまったく取らずに。22歳のままで。
同期だった男二人は、順調に歳を取って、35歳。
二人がバーで飲んでるときに、ちょうどその女は現れた。
「あんたたち、もうキラキラしてないのね。なんだか油でギラギラしている」
「おっさん? おれたち、もうおっさん?」
そんな会話が交わされる。
行方不明だった女が突然現れたことで、すったもんだが始まる。
当時、二人の男はどちらも女のことが好きだった。
けれども打ち明けられずにいた。
一人の女を挟んで、二人の男の争いが始まる。
ファントムメナスのまめ知識のひけらかし合いとか。違ったかな。あんまり覚えていない。まあ、いいや。
とにかく二人の男は、女が好きだった。
一人はとうに結婚しているけれども、夫婦関係は冷え切っていると告白。女とやり直したい、みたいなことまで言い始める。
でも女のほうは、全然関係ない別の男が好きだった。
大学の先輩。そいつのことが忘れなられない。
13年ぶりに電話してみる。
しかしその男はすでに結婚している。
仕方ないね、もう13年も経ったんだから。
ふっきれた女は二人の男たちに向かって言う。
「二人のうち、キラキラしている夢を持っているほうの人と、朝までつきあったげる。私がトイレに行ってるあいだに考えといて」
二人の男は、それぞれ若いときに思っていた夢を語る。
そして女がトイレから出てくるのを待つ。
しかし女はもうトイレから出てこない。また行方不明になってしまった。
二人の男は言うのである。
「次の13年後までに、どっちの夢がより実現されているか勝負だ!」
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